小型家電の回収品目、自治体によってあまりに違いすぎはしませんか?(中)

小型家電の回収品目、自治体によってあまりに違いすぎはしませんか?(上)」のつづきです。

次に進む前に、自治体によって一般的に行われている小型家電の回収方法について確認します。主な方法は次の2つ。

  1. ボックス回収:公共施設やスーパー、家電小売店 などに専用の回収ボックスを設置して回収する方法。
  2. ピックアップ回収:粗大ごみや不燃ごみと一緒に回収し、ごみ処理施設で自治体の職員が小型家電を取り出す方法。

1のボックス回収で回収される品目は、何処の自治体でもほぼ同じ。ボックスにある40cm×20cm程度の投入口から入るサイズの小型家電しか回収できない。また個々の市民が勝手に小型家電をボックスに投入していくわけだけだから、各自治体サイドが独自に回収対象品目を細かく設定(【例】携帯電話やパソコンを回収対象から外すなど)して広報しようとも、結局は何処の自治体でも似たような小型家電が集まる事になります。回収される小型家電に含有される貴金属やレアメタルの量も一定レベル以上となり、特段の問題は通常では発生しない。

これに対して問題となるのは2のピックアップ回収。前回で書いたような小型家電の回収対象として「本末転倒な品目を設定している」という問題は主にこの方法を採用している自治体で発生しています。

何故こんなことになっているかというと、主要因は3つ。

  1. 重くて嵩張るものの法が選別(ピックアップ)しやすい。選別工程において、大きい機器や重い機器(電子レンジやファンヒーター、コンロなど)は目に付きやすい。拾い上げるのも比較的容易。それに対してポケットに入るようなサイズのゲーム機や携帯型デジタル音楽プレーヤーなどは小さくて目に付かないので、小型家電回収の担当者のみならず現場で選別をしている作業者も回収対象とするのを嫌う。
  2. 小型家電回収の成果の評価は、ごく一部の例外を除いて集めた小型家電の重量をベースに行われる。すなわち小型家電回収の成果として集まる貴金属やレアメタルの量は直接的には評価対象とならないので、回収主体である各自治地帯としては”貴金属やレアメタルの含有量が少なくても、鉄分が多くて重い機器を集める方が高い回収実績を上げられる。
  3. 埋め立て量の削減とゴミ処理費用の削減を目指す各自治体としては、”重くて嵩張り、燃やしても減容・減量されないもの”はゴミとして処理をしたくない。安くても構わないので有価で売却したい。ゴミ処理工程で”破砕機+磁選機”を導入していない自治体にとって、実はこの問題がかなり大きい。”破砕機+磁選機”を持っている自治体では通常、鉄分が多い大きくて重い機器は端から機械処理を行って鉄分を回収し、回収した鉄は小型家電リサイクル法の流れとは全く別のルートで鉄資源として売却している。つまり鉄分が多い大きくて重い機器をそのままゴミとして処理することは全く想定していない。これらは容易にリサイクル化&有価売却が出来る有用物。となると既に持っている機械を停めて、大きくて重い機器を未処理のまま売却しようとは普通は考えないので、小型家電の回収対象としては自施設で鉄分を回収するより他社へ売却する方が採算性が高くなるような機器≒鉄以外の金属成分の価値の方が高いような機器、すなわち比較的小さくて貴金属やレアメタルの含有量が多い機器を新たに回収対象とする傾向が強まりますそれに対して”破砕機+磁選機”を持っていない自治体にとって、鉄分が多い大きくて重い機器は自分自身ではリサイクル化することも出来ずに外部で処理をしてもらわなくてはならない厄介者。せっかく外部業者に処理を委託するのであれば、大きくて重い機器だけを小型家電リサイクルの対象品目として集めたことにして有価売却できると一石二鳥。選別の手間が追加でかかることもなければ小型家電回収実績としてカウントも出来る。もし大きくて重い機器だけだと有価売却できないのであれば、業者が欲しがるような小型家電を多少混ぜて有価売却を維持することもやぶさかではない。このような考え方がベースになることが極めて多いので、貴金属やレアメタルの含有量なんてほとんど考慮せずに回収対象品目を設定している自治体が極めて多くなります。

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