小型家電の回収品目、自治体によってあまりに違いすぎはしませんか?(下)

まずは前回までのまとめです。

小型家電リサイクル法の元でやらなくてはならないことは「貴金属やレアメタルの回収を促進して資源の確保を図る」こと。そのためには

  1. 携帯電話やパソコンなど、貴金属やレアメタルをたくさん含んでいる小型家電(高品位品)の回収に力を入れる
  2. 上記(1)を前提として、回収量の向上を図る。

ことが必要。
ところが自治体は、貴金属やレアメタルの含有量は少ないけれども手間がさほどかからなくて集めやすい小型家電(低品位品)を集めがち。すなわち多くの自治体は従来、上記(1)には目をつぶって上記(2)に着目して活動を行ってきた。政府も小型家電リサイクル法に対する取り組み状況の評価を上記(2)の回収量を基準に行なってきた。

以上、前回のまとめでした。

ここまでを申し上げました。ところが法施行から5年を経過した今日では、
・中国の雑品等に対する輸入規制の影響を受け、低品位品を認定事業者へ有償で売却することが困難となってきた。
・小型家電の回収量が飲み悩んでいる。2020年オリンピックのメダル製作に必要となる”銀”は、その全量を小型家電リサイクルにより回収された素材で賄う予定でいたが、小型家電と貴金属及びレアメタルの回収量の伸びが鈍くて予定回収量の達成が危ぶまれている。
等の問題点が発生しています。

地方自治体の負担を大きくしないようにと、法施行からしばらくの間は上記(2)を重視してきたというのは十分に理解、納得できます。ただ特に直近の2年間においては、中国の輸入規制の影響を大きく受けて低品位品の市況は法施行当時と大きく変わりました。現状では、近い日に5年前の市況に戻る様子は全く見られません。

またこの状況の下で小型家電の回収を継続しようとしている自治体の中には、小型家電回収体制及び手法の抜本的かつ早急な見直しを余儀なくされているところも少なくはありません。

上述のような厳しい状況下、上記(1)の「貴金属やレアメタルの回収を促進して資源の確保を図る」という立法趣旨を改めて見つめ直す意味でも政府としてはそろそろ”中品位・高品位小型家電の回収にターゲットを絞り込む”といった作業をすべきでないでしょうか?平たく言いますと”制度対象品目”を大きく見直して、この中から低品位品を除外する必要があるのではないでしょうか?

また当然評価基準も”回収した小型家電の重量”から”回収した小型家電に含まれる貴金属重量”へと変更すべきです。成果を公表する場合にも、①パソコン(高品位品)100kgと電気ストーブ(低品位品)300kgの小型家電を回収した自治体と、②パソコン200kgを回収した自治体を比較して「①の方に高い評価を与えてしまう(高い評価を与えているかのように見せてしまう)ような形式は避けるべきではないでしょうか?

この法律は元々大きなポテンシャルを持っている法律です。運用方法さえ微修正すれば、今後この法律の実力を遺憾なく発揮させることも不可能では無いと思います。是非とも「現場から十分に状況(含:市況)をヒアリング」しつつ、早期に法施行例・施行令規則等の見直しを行っていただけますと、本業務に携わる者として大変ありがたく思います。

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